心の書庫

主に本を通じて書いてゆく 書庫代わり 自分へのヒント

2021-01-01から1年間の記事一覧

カントに於ける危機への対処

未来に、最悪なことが起こるに違いないというオブセッションやハルマゲドンの願望や世界戦争のビジョンを前提から不可避と抱くのは、じつは西洋で19cに起きた神学智に発するスピリチュアルだと柄谷は指摘している。これは、もっと先んじて、準備だけにあきた…

カフカの処刑機

「わたしは自民党と社会党が差異を失って浮遊しながら国政権を掌握している現在の政治社会状況と、サリンによる無差別殺傷が犯罪として出現してきたことと、大手の新聞やテレビ報道機関が無差別に法的確定の以前の段階で特定の個人や集団を犯罪者として葬ろ…

柄谷行人 村上春樹に会いに行く

具体的には、柄谷は、たんに超越的、イロニーだから、気に食わないということなのだ。柄谷は、国木田独歩の、忘れ得ぬ人々に、無意味な風景を大事に思うだけで、人が実は描かれない酷薄さ(イロニー)という矛盾をみる。これを柄谷は内的人間と呼ぶ。しかも…

引き続き探偵について 夏目漱石

『彼岸過迄』では、探偵は二種類に分けられています。一つは、「其目的が既に罪悪の暴露にあるのだから、子じめ人を陥れやうとする成心の上に打ち立てられた職業である」というタイプの探偵です。敬太郎はそれを嫌うわけです。彼が考えている探偵というのは、…

彼岸過ぎた「先」 夏目漱石

ある種のフロイト主義というか、自我心理学者、精神分析学の特徴を典型的に表したような考えがある。 現実を見るか見ないか、その差が現実の結果を決定します。国家にしろ個人にしろ同じ事です。神経症も幼い時の親子関係とか、自分に関する苦痛な都合の悪い…

終われない推理に於ける探偵

私は探偵が好きで、小さい時からそうだ。いまは、あまり探偵小説も読まなくなってしまった。若干、憧れも遠のいてしまっている。だが、文学研究の一環として、探偵は一つのテーマになっている。ちなみに探偵小説、推理小説にも、大別すれば二種類あると考え…

現勢神経症について フロイト/河合隼雄

「現勢神経症の諸症状、すなわち頭が重い感じ、痛み、ある器官の刺激状態、ある機能の減退や抑制には、なんの『意味』、すなわち心的意義もありません。これらの症状は、たとえばヒステリーの症状のように、たんに主として肉体に現われるばかりではなく、そ…

夢としての女性 夏目漱石

個人的な感想から始まるが、仮に女性の魅力とすれば、幽玄だとか死とか、霊的な資質を認めざるえないのでは、と思っている。『幽霊図(お雪の幻)』wikipediaより昨今、女性を、叩くような意見がネットに散見される。が、実際のところ、それは、ローカルレベル…

現実と夢 柄谷/夏目/丸山

丸山眞男は次のように言っている。社会的現実はきわめて錯雑し矛盾したさまざまの動向によって立体的に構成されていますが、そうした現実の多元的構造はいわゆる「現実を直視せよ」とか「現実的地盤に立て」とかいって叱咤する場合にはたいてい簡単に無視さ…

シュタイナー 月 神秘主義

「わたくし、いつも月を浴びて散歩をいたしますとね、きっと亡くなった人たちのことを思ったり、死ぬことや行くさきざきのことを考えたりいたしますの。わたくしたちも、みんなあの世へいってしまいますのねえ」(ロッテ『ウェルテル』)基本的に、ものごと…

サブカルと文学の敷居

ぼくは今でもそうだが、一人のサブカルチャーというか「おたく」商品の作り手として、その意味を商品価値以外の何ものかに一切見出せないでいる。/「おたく」の精神史1980年代論 大塚英志この「おたく」商品でしかないものへの、彩飾とか文学性だとか哲学性は…

オリンピックを否定する言葉とは?

2021/04/18 14:19革命は行動である。行動は死と隣り合わせになることが多いから、ひとたび書斎の思索を離れて行動の世界に入るときに、人が死を前にしたニヒリズムと偶然の僥倖を頼むミスティシズムとの虜にならざるを得ないのは人間性の自然である。 -革命…

煙草と名前のない時間たち

最近、また煙草が吸いたくなっている。一度、貧乏をしてから、金がないし、臭いし、母親もうるさいし、そんなことから、とうとうやめてしまった。ひょんなことから、コロナ禍も重なってタバコとコロナの影響とか、いまいち科学的知見は分からないが、絶対に…