柄谷行人
未来に、最悪なことが起こるに違いないというオブセッションやハルマゲドンの願望や世界戦争のビジョンを前提から不可避と抱くのは、じつは西洋で19cに起きた神学智に発するスピリチュアルだと柄谷は指摘している。これは、もっと先んじて、準備だけにあきた…
具体的には、柄谷は、たんに超越的、イロニーだから、気に食わないということなのだ。柄谷は、国木田独歩の、忘れ得ぬ人々に、無意味な風景を大事に思うだけで、人が実は描かれない酷薄さ(イロニー)という矛盾をみる。これを柄谷は内的人間と呼ぶ。しかも…
『彼岸過迄』では、探偵は二種類に分けられています。一つは、「其目的が既に罪悪の暴露にあるのだから、子じめ人を陥れやうとする成心の上に打ち立てられた職業である」というタイプの探偵です。敬太郎はそれを嫌うわけです。彼が考えている探偵というのは、…
私は探偵が好きで、小さい時からそうだ。いまは、あまり探偵小説も読まなくなってしまった。若干、憧れも遠のいてしまっている。だが、文学研究の一環として、探偵は一つのテーマになっている。ちなみに探偵小説、推理小説にも、大別すれば二種類あると考え…
丸山眞男は次のように言っている。社会的現実はきわめて錯雑し矛盾したさまざまの動向によって立体的に構成されていますが、そうした現実の多元的構造はいわゆる「現実を直視せよ」とか「現実的地盤に立て」とかいって叱咤する場合にはたいてい簡単に無視さ…