すなおな心を忘れずに苦しんでも小心者で良い 森田正馬
5 学者ぶることの弊害
また、「衒学」といわれるものがある。それは学問らしく見せかけ、日常ありふれたことにもこ
とさらに術語を多く使い、説明をむずかしくしようとするものである。たとえば「腹をかかえて笑った」といってもさしつかえないところを「不意の変化による滑稽の刺激にたいして、笑いの衝動
を抑制することが不可能であった」とか、「笑いによって精神的エネルギーを放散した」とか言っ
て見なければ気がすまないようなものである。
感想
神経症者や強迫神経の人は、防衛的に「知的ぶる」という機序が働く。いわゆる「知性化」と言って、感情に直面しないで、知的ぶることで回避する。神経症者は、現実回避するクセがある。素直な気持ちで、ありのままに、怖がっても、小心者でも構わない。そのままで、やることや、やりたいことをやるだけで、あとは「放っておく」ことが良い。「成り行き」に任せる。エゴの力で「治してやる」ことは、出来ない。