心の書庫

主に本を通じて書いてゆく 書庫代わり 自分へのヒント

困難を避けずにまずは没入してみる 森田正馬


勉強の苦痛や、家庭のうるさいことや、社交のわずらわしさなども、すべて自分の心の置きどころによってそれをリズミカルに調整し、自由自在であることができるのである。それにはまず自分がその中に没入同化してその境遇になりきることが必要であって、反抗したり回避したりしないことが大切である。私はそれを、「自然に服従し、境遇に柔順であれ」と言うのである
生活の改善
緊縮という言葉は、ちかごろの流行語になっているが、私は年中緊縮の心がけを失わないことが
すなわち生活改善である、と思うのである。
年の初めにあたって、とくに感想はないけれども、正月の風俗について考えてみたい。 すべて風俗というものは、社会に害があるものでないかぎり、私は根本的に廃止するということを好まない。
それはその国の国民性と密接な関係をもっているからである。
年賀状については、私は私の存在と住所と私の仕事とを知らせるために、この機会をもっとも有効に活用する。しかし私は、ふだん行き来している親戚や友人からは、年賀状をもらってもありがからはたくもなければ、もらわないからといって無礼とも思わない。私はそれを虚礼と思い出さないで受けっ放しにして緊縮している。