心の書庫

主に本を通じて書いてゆく 書庫代わり 自分へのヒント

2022-12-06から1日間の記事一覧

「自己啓発本」に閉ざされていてよいのか 宮台真司

アドラーにも良い面があるけど、フロイトが「ネズミ」――僕がいうクズ――と呼んだ理由も分かる。後にフロイトを継承したラカンが、神経症の源泉になるトラウマの意味を明らかにしたけど、僕らは、言葉の中に閉ざされるようにムリヤリ訓練されたせいで誰もが本…

フロイト=ラカン派を語る 宮台真司

社会という言語的なシステムに、一見「適応できた人間」と「適応できなかった人間」がいるとして、「適応できなかった人間」の方が正しいんだというのがフロイト=ラカン派の一貫した発想です。「心の病気だから治しましょう」と人は言います。確かにそれで…

我にとらわれず なりゆきに任せる 森田正馬

小我のとらわれから脱せよ 神経質患者は、不眠や頭の重い感じ、不快な気分など、一つ一つの症状にたいし絶えず注意を向け、自ら予測しているために、その症状はますます悪くなるばかりである。それはあたかも子供が植物を植えるとき、土に根を下したかしらん…

医学的な思い込みについて 森田正馬

船酔いについて… (承前、船酔いについて、)あたかも脳震とうのようなものだ、と言っている。これもトルーソーの説と五十歩百歩であり、船酔いの治療には何の役にも立たないのである。こんな学説は、一見学問らしい難解な理論を立てたものであるが、現象を…

困難を避けずにまずは没入してみる 森田正馬

勉強の苦痛や、家庭のうるさいことや、社交のわずらわしさなども、すべて自分の心の置きどころによってそれをリズミカルに調整し、自由自在であることができるのである。それにはまず自分がその中に没入同化してその境遇になりきることが必要であって、反抗…

方法論に拘ったりや「お気持ち表明」する前に、不完全でもやってみる 森田正馬

忙しい気分のときが、一番仕事も勉強もできるものなのだ。学生が夏休みで帰郷するとき、休み中にうんと本を読もうと思って行李にいっぱいつめこんで帰るが、大ていほとんど読まずに持ち帰ってくる。それはあたりまえで、休暇になると刺激がなくなり精神が弛…

自分の悪を自覚することによって、はじめてほんとうの善人になる 森田正馬

(承前)私が日記に、「私は自分の偏屈で、気が弱く、交際下手な性質を直そうと長年努力してきたが、すべて失敗に終って絶望に沈んだ」と書いたら、次のように批評された。 「われわれの性質は生れつきであって、どうすることもできない。それは仏教で言うと…