心の書庫

主に本を通じて書いてゆく 書庫代わり 自分へのヒント

「自己啓発本」に閉ざされていてよいのか 宮台真司

アドラーにも良い面があるけど、フロイトが「ネズミ」――僕がいうクズ――と呼んだ理由も分かる。後にフロイトを継承したラカンが、神経症の源泉になるトラウマの意味を明らかにしたけど、僕らは、言葉の中に閉ざされるようにムリヤリ訓練されたせいで誰もが本当はトラウマを持っていて、その抑圧によるトラウマがエネルギー源になって、いろんな営みに動機づけられる――フロイトラカンはそう考えるんですね。宮台真司

 

感想

トラウマを負の側面だけでなく、むしろ心的動機のエネルギーとして評価している点が良い。アドラー心理学が、苦手な私からすると、アドラー心理学みたいなのを読み漁る連中は、自己改造、自己啓発をして、むしろ自分の利益を上げるための小我へのとらわれを加速するだけではないか。

アドラー流の人から嫌われないための処世術より、人を愛すとはどうゆうことかということを考えさせるE.フロムのほうが、神経症には大事な問題だろう。