心の書庫

主に本を通じて書いてゆく 書庫代わり 自分へのヒント

2022-12-03から1日間の記事一覧

被害妄想と神経質の違い 森田正馬

1 心理から見た人間の種々相反対に、盗人は自分でもその行為が悪であり罪であることを表向きには十分認めているけれども、その裏には都合のよい自己弁護の心がひかえていて、社会の罪や親の教育が悪かったせいなどに転嫁しようとする。だから盗人は、人から…

船に酔うということはなにか 森田正馬

5 生活の調和と改善について⑧ 船に酔わない法誰でも経験することに、船酔いという現象がある。それは、船の動揺や臭気、エンジンの響きなどが人の感覚の調和をかきみだし、不快感を増進させるためにおこるのである。船に酔わないもっとも簡単な方法は、動揺…

理知本位という生き方 森田正馬

私が「理智本位」と名づけるもので、理想主義におちいるものがある。この傾向の人は、人生を是非、善悪、 正邪など価値的に批判し、自分の小智や小理屈できめた基準に適合しないことはいっさいそれをやらない、というふうである。この傾向は、学者、宗教家、…

境遇になりきる力 森田正馬

勉強の苦痛や、家庭のうるさいことや、社交のわずらわしさなども、すべて自分の心の置きどころによってそれをリズミカルに調整し、自由自在であることができるのである。それにはまず自分がその中に没入同化してその境遇になりきることが必要であって、反抗…

真逆のことを考えるのは異常ではない 森田正馬

34、「私の心理はすべて変態で、普通の人とは逆である。だから、自分の思っていることと反対のことをすれば、かえって世間と調子が合う」と言っている。これも、べつに変態というほどのことではない。われわれの生活には表と裏があって、それを適当に調節し…

頭で考える人はなにもしない 森田正馬

1 心理から見た人間の種々相35それと同じである。 それを変態ではないかと自己内省する人は、自己抑制のつよい性格であって、そんな行動に出ることはないのである。そのほか、自分は精神錯乱におちいるのではないか、あるいは思い余って自殺するのではなかろ…

森田正馬 心理から見た人間の種々相

1 心理から見た人間の種々相29このように、自信と内省とが調和をたもっているのが正常な状態であって、その調和が失われたときに、いろいろな変態が生ずるのである。もし自信ばかりつよくて内省が足りないときには、生活も行動も向う見ずとなり、失敗の危険…